(流体力学的)きのこの第4仮説(補)

Fig.4-5

厄介者も使いよう?

【注意】
この話は科学に無知な筆者が付け焼き刃の知識を基に書いた、いわゆるエセ科学と同等の記事で、内容的な正確性は未検証です。

第4仮説ではきのこの柄の果たす役割について考察し、粗い表面構造によってはく離を遅延させて圧力抵抗を減少している可能性について説明しました。しかしハナオチバタケなど一部の小型菌では柄の表面が平滑なものがあり、これについてはどう考えるのがよいでしょうか。

Fig.4-6
Fig.4-7

まずは上の動画[Fig.4-6]をご覧ください。これはウマノケタケという髪の毛ほどの細さの大変長い柄を持つきのこで、これに息を吹きかけたもの(一様流でなく噴流)です。極細の柄が風を受けてゆらゆらと揺れています。

第4仮説の柄と気流の関係では説明を省いたのですが、粘性流体のはく離し易さの指標となるるレイノルズ数が40を超えた場合、後方にできる乱流の中には一定周期で繰り返すカルマン渦が発生します(冒頭の図[Fig.4-5]が模式図です)。

動画のウマノケタケは意図的に息を吹きかけたのでカルマン渦とは異なるかもしれませんが、例えば森の中で草の葉が一枚だけ忙しくひらひらと揺れているのを見たことはないでしょうか。これは葉に当たった風から生じたカルマン渦によるものです。[Fig.4-7][Fig.4-8]

Fig.4-8
Fig.4-9

カルマン渦の周期が物質の固有振動数と一致すると揺れが増幅されて、最悪の場合、かつて米国で発生したタコマ橋の倒壊事故のように破壊に至る厄介なものですが、柔軟性のある物質であればその周期的な渦を振動として利用することもできそうです。

ハナオチバタケやウマノケタケなどの一部のオチバタケの仲間で平滑な柄を持つものには、強靭で弾力性のある柄を持っており、時々柄だけが残っている姿も見かけます。この手のきのこであれば、敢えて圧力抵抗を抑えるのではなく、カルマン渦によって引き起こされた振動を胞子散布に利用している可能性は考えられないでしょうか。


【参考文献】(敬称略)

『流れのふしぎ』遊んでわかる流体力学のABC
日本機械学会編 石綿良三・根本光正著(講談社ブルーバックス)

『鳩ぽっぽ』初心者のための航空力学講座
Oki (https://pigeon-poppo.com)

『機械設計エンジニアの基礎知識』流体力学の基礎を学ぶ
MONOWEB (https://d-engineer.com/monoweb.html)

『楽しい流れの実験教室』
日本機械学会 流体工学部門 (https://www.jsme-fed.org/experiment/index.html)


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