地を這うきのこには訳がある
【注意】
この話は科学に無知な筆者が付け焼き刃の知識を基に書いた、いわゆるエセ科学と同等の記事で、内容的な正確性は未検証です。
ここまでの仮説は、傘と柄のあるきのこを想定し、傘の裏側から放出された胞子が地面に落ちるまでの間にいかにして巻き上げるかという方向性で考察を行ってきました。しかしきのこの中には柄が極めて短く、ほぼ地面に貼り付いているような種類がいます。その代表的なものがベニタケの仲間ですが、これらは稀な種類どころかむしろ一大勢力となっており、除外して考えるわけには行きません。この手の極めて背の低いきのこはいかにして種族の繁栄を果たしたのでしょうか。
まずはベニタケ科きのこを真横から見てみましょう。これはおそらくシロハツだと思われますが、ベニタケの仲間のきのこの一部は特徴として、柄が極めて短く地面すれすれに傘を開くことと、成菌では傘が盃型に反り返っているのをよく見かけます。[Fig.6-1] 落ち葉に半分埋もれているような状態なので、こうでもしないと胞子のある傘裏を風に当てることができないからだと思われますが、この形を見て何か気付くことはないでしょうか。
[Fig.6-2]は第5仮説でも出てきたキャブレターの模式図ですが、この上半分に注目してください。上の写真に出てきたきのこの傘を横から見た形と似ていると思いませんか。地面すれすれに開いたきのこの傘と地表面の作り出す隙間はまさにキャブレターなのです。
きのこの横から吹き込んだ風がこの隙間を通る時、地面の高さが変わらないので、流速が上がると、一つの流線上に存在するエネルギーの和は一定であるというベルヌーイの定理により気圧は低下します。するとキャブレターにおける燃料と同様、傘裏のひだにある担子器から胞子が吸い出され、吹き抜ける風に乗って運ばれるのです。[Fig.6-3]
これが流体力学的きのこの第6仮説、地面すれすれに傘を開くきのこは、地表との狭い隙間を通り抜ける風がベルヌーイの定理によって胞子を吸い出して、効率的に拡散させるというものです。いかがでしょうか。
【この仮説における問題点】
- 微風の中で静止しているきのこにおいても、ベルヌーイの定理を適用し得るのか
- 風がきのこと地表の隙間に吹き込む前に、枯葉などの障害物で遮られてしまう可能性がある
【参考文献】(敬称略)
『流れのふしぎ』遊んでわかる流体力学のABC
日本機械学会編 石綿良三・根本光正著(講談社ブルーバックス)
『鳩ぽっぽ』初心者のための航空力学講座
Oki (https://pigeon-poppo.com)
『機械設計エンジニアの基礎知識』流体力学の基礎を学ぶ
MONOWEB (https://d-engineer.com/monoweb.html)
『楽しい流れの実験教室』
日本機械学会 流体工学部門 (https://www.jsme-fed.org/experiment/index.html)